Exhibition
富田久留里展
「不知灯」 (しらぬひ)
2024/4/27(土) 〜 5/19 (日)
【開催概要】
富田久留里展「不知灯」(しらぬひ)
■会期
2024年4月27日(土)〜5月19日(日)
13:00〜18:00
■休廊
火・水・木
■入場無料(予約不要)
■会場
art cocoonみらい
長野県千曲市土口378-1
■ドキュメント動画はこちら⏬
artcocoonみらいチャンネル公式動画 (近日公開予定)
長野インターネット放送局( 2024.6.24公開)
アーティストによるギャラリートーク
(各回とも、作品解説、展覧会概要、オーダーメイド絵画などについて、異なる内容でお届けしています)
■オープニングアーティストトーク「不知灯とはなにか」
(オーダーメイド絵画制作実演あり)
4/28(日)15〜16時
参加料 1,000円
定員 30名(要予約)
■オーダーメイド絵画「対話を通してあなたの心の風景描きます」(ポストカードサイズ、水彩、5,000円 所要時間30分)を、トーク後、先着2名様より承ります。(要予約)
■岩絵具ワークショップ「岩絵具で遊ぼう」
5/19(日)10時〜12時
参加料岩絵具代含む) 5,000円(要予約)
定員 5名
富田久留里、1996年千葉県佐倉市生まれ 千葉大学教育学部中学校教員養成課程 美術科卒 中学校美術教師を経て、2022年画家として独立。
前回の個展「阿・吽」展の終盤に降りてきた「不知火」という言葉を手がかりに、富田は本展ではこれまでに筆を入れ続けてきたフィレンツェ、サンフランシスコなどの異国の風景から、この一年で幾度も訪れた盛岡、奈良、千曲を描いた新作などを通して、光を意識し、「私たちのなかにある未だ知らぬ灯り」を探っていきます。みなさまの内なる「灯り」にもつながりますでしょうか。
art cocoonみらい ディレクター 上沢かおり
【個展に寄せて】
今まで、芸術や文学の生まれた土地に赴き、かつての画家や歌人、文人が感動したように、自身も訪ねた先で起こる思いもよらない展開や、風景や人との出会いに心を寄せて制作してきました。
描いた土地は北に青森、岩手、西に京都、奈良、福岡、フィレンツェ、サンフランシスコ、そして、日本列島の中心、長野です。 特に、長野、奈良、岩手は、この一年幾度も通い、日本列島を往復するように過ごしました。
これまでは、その土地ごとの風景をテーマとした個展を開催してきました。(京都北山の風景を発表した第一回個展、青森十和田の風景を発表した第二回個展、そして、昨年日本列島の中心である信州art cocoonみらいにて千曲や北信の風景を発表した【阿・吽】展。)
【阿・吽】は、art cocoonみらいのオープン記念展ということもあり、フレッシュな春の芽吹きのイメージを前面に押し出す展示でしたが、今回は不知灯という不思議な言葉をテーマに、さらに広がりや深化を掲げようと思います。自身のこれまでの仕事を振り返り、描かれた場所を統一せず、過去作から最新作まで広く発表します。
盛岡、奈良、千曲を描いた新作を中心に、数年前から筆を入れ続けてきたフィレンツェ、サンフランシスコなど異国の風景を展示し、【不知灯】のイメージから、光を意識し、夜や黄昏、朝陽など、描かれた風景の時間帯も多岐に渡る内容となります。
一見つながりのないように見える地点ですが、もう一つの地点を結ぶことが幾度もおきました。そのたびに土地は人の縁となり、私の道を照らしてくれました。
阿・吽展から一年、画家として独立する生き方のなかで、様々な葛藤や心の変化があり、そしてどんな時も土地のもつ特有の美しさや、制作活動、そして絵を見てくださる皆様の反応から力を貰いました。2019年に画家として活動を始めてからの5年間の画業を振り返り、皆様にご覧いただきたく思います。
【不知灯(しらぬひ)について】
今回の展示テーマ【不知灯】は、オーナーの上沢さんが阿吽展のときにおろしてくれた、不思議で幻想的な不知火という言葉に、灯(照らすもの)という意味を加えた造語です。この灯というのは、私の体験です。
生活や旅の中で風景をみた時、何の前触れもなく、遥か遠い記憶のようなものが美しい灯(ともしび)となって私のもとにやってきて、ピカと光ったと感じることがあります。
例えばある冬の日、外仕事をしていると、小田原の山の向こうの谷間に赤い夕陽が射しているところを見ました。
すると、「秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに..」と、枕草子の一節が私の胸の中で光ったのです。季節は異なるし、完全に情景が一致しているわけではない。けれども、そこになにかひとつの確かなものがありました。
なぜかはわかりませんが、さまざまな小さな偶然が重なってやってきたのだろうと思います。後にこの小田原の風景を描く中で、いつか奈良でみた夕暮も思い出され、制作のなかで様々な記憶が編まれていきました。
この灯の体験は、私の制作の原点であり、啓示に近いものかもしれません。 バラバラの風景や言葉の記憶が呼び起こされ、時間や場所を超えてつながり、ひとつの絵画のなかに集約されていく。
それらがどこで繋がるのか、なぜ繋がるのか、わからない。 けれどもそれらが繋がった時、灯となってこの身体にやってくる。そこで、今回の展示タイトル不知灯は、未だ誰も知らない光という意味でつけました。 未だ知らない。 しかし確かに在り、そして、知る。 そんな灯を見つけていただけたら幸いです。