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石上和弘展「梢のキタタミ」

2023/11/3(金・祝) 〜 11/26 (日)


富田久留里展 「阿・吽(A・​Un)」(絵画)


■会期 2023/11/3(金・祝) 〜 11/26(日) 13:00 〜 19:00

■休廊 火・水・木 ■会場 art cocoon みらい  長野県千曲市土口378-1 古大穴神社前( Google Map

■入場 無料 (予約不要)

■オープニング アーティストトーク (制作実演あり) 11/3 (土)15:00 〜16:00  定員:30名(予約不要)

yooutubeで動画をご覧いただけます。

■展示作品 について

石上和弘 1966年静岡市生まれ。1991年 武蔵野美術大学彫刻学科卒業。静岡市在住。富士山、りんご、バナナ、スプーンなど身近なモノをモチーフに、主に木材を使って彫刻表現をしているアーティスト。

これなに? キタタミ? 木の畳? 触っていいの? 「キタタミ」との出会いは様々な疑問からスタートすします。木の魅力、形の面白さ、あり方の不思議さで、「一緒に暮らして育ててください」という作者のメッセージを受けて、2023年8月6日開催の「キタタミ貸出ワークショップ」で、20名に計35枚が貸し出され、キタタミは一気に広がりました。そのキタタミたちが戻ってきて、本展で新作「梢のキタタミ」と「ベンチクロダ」が完成。そこでしか見えない景色、作者にすら予想できない作品が出現します。ぜひ体験しにいらしてください。 (art cocoonみらい ディレクター 上沢かおり)

【ki.tatami.project(キタタミプロジェクト)とは】

「キタタミ」(木畳)は、六角形の様々な種類の木材の盤による作品※です。木の彫刻を作る過程で、いろいろな木が集まってきますが、その全部を作品にできるわけではなく、かといって薪にするにはためらうような魅力的な木も多く、かなりの量の木が石上のスタジオにたまっていました。これらの木材を生かそうと思い立ってできたのがこの作品です。1枚1枚を貸し出して、ご自宅等で共に暮らしてもらい、その後、全部をギャラリーに集め、木の絨毯の如く敷き詰めて、その上を歩いたり寝転がったりして体感してもらいます。自分に貸し出された愛着のある1枚がはめ込まれていますから、人そ​れぞれに特別な見え方、感じ方があるでしょう。この活動全体の総称が、ki.tatami.project(キタタミプロジェクト)です。このプロジェクトはアートのピースを貸し出すことから始まるのです。

※キタタミの形は自然界にある形(玄武岩柱、亀の甲羅など)をモチーフとした六角形。1ピースのサイズは、少し縦に長い幅42cm、中央が膨らんでおり厚みは5cmから14cm程度。重さは3kg~10kg。樹種は、スギ、ヒノキ、アカマツ、ナラ、ケヤキ、カシ、クルミ、シナ、クス、カエデ、サクラ、ブナ、ユリノキ、クリ、ウォールナット、チーク、ローズウッド、黒檀など。色も様々で、黒檀は黒く、カエデやシナは白っぽい。肌触りのよいスギやヒノキの重量は軽く、カシは10kgを超えて頑丈。様々な風合いを楽しむことができます。


8月ワークショップ時 風景 記録動画はこちら



レンタル期間中の風景 キタタミスト(キタタミを借りた人)の風景


 参考作品:石上和弘展「壁を歩く」(ギャラリーナユタ 東京 2021)
参考作品:石上和弘展「壁を歩く」(ギャラリーナユタ 東京 2021)

梢のキタタミ 近所の木工屋から、大きな節(ふし)がたくさん散っている大きな秋田杉の盤を数枚購入した。節で割れてしまい細かく製材できないので用途が限られる。なかなか木工製品に加工できるような使い方ができない。古い材で、元は親類の製材所の在庫だったとのこと。店を畳む際に、使ってもらえるならと回ってきたそうだ。

これだけたくさん節が散っているということは、10メートルを越える高い場所に枝を張った材だと思う。長さは3メートル(10尺)、幅は45センチ(尺5寸)、厚みも6センチ(2寸)。これは、3番玉だろうか?根本からトラックに乗る長さに伐っていって、3本目という意味。(この材の1番玉は、末口で直径60センチはあったであろう。上質の天井板に使われたのではないかと考える。) アトリエに持ち込んで、壁に立て掛けた。椅子に座って見上げると、枝を広げた梢の姿が浮かんで、枝や葉ががぶつかるざわざわとした音が聞こえる感じがした。大空の元で風に揺られている、そうだ、梢を眺めているんだと思うと身体も浮いて軽くなった。そこにとまろうとする鳥になれそうな気もしてきた。これを機会に、節の見え方が、もう一段深くなった。もう節は木目の模様のようなものには見えず、直立する幹に対して新たに伸びていく方向を示していた。

キタタミにも、節があるものがある。元々、彫刻の材料にならなかった端材を作品にしようと考えたが、それでも、節が朽ちて穴が空いたようなものは、まだキタタミには出来ずにいた。でもこの先は積極的に使えそうだ。床から壁に展開したキタタミは、地面に生えていた時と同じ向きになって、梢を作り、のびのびと壁に広がっていくだろう。秋田杉のキタタミもこれに加わっていく。

art cocoon みらい、そのギャラリーの向かいに、大きな木に抱かれる神社がある。散策してその梢を眺めることと、ギャラリーの壁に広がる梢のキタタミの鑑賞を、交差させてみたい。 築80年余りのギャラリーの母家も地元の材で作られているはずだ。やまびこが響くように、森と作品と建物が共鳴する場を作り出したい。

2023年7月   石上和弘

 新作「ベンチクロダ」1/5模型
新作「ベンチクロダ」1/5模型

ベンチクロダ

この作品は、黒田辰秋作《欅拭漆彫花文長椅子》の寸法を基に、材料である欅材の佇まいを引用して、自身の《キタタミ》をはめ込んだものだ。以前、オーセンティックな形態で、寝ころべるような長さのベンチの制作依頼があり、作ったことがある。 まず浮かんだのは、東京の小田急線の各駅停車駅あった古いベンチだった。依頼主から、参考までにと送ってもらったイギリスでの写真もあったが、結局、あまり先行例を参考にせずに、自身のイメージに浮かんだ「古びない形と座り心地」を探しながら制作した。気に入る出来となった。


その後、東京国立近代美術館の工芸館で、冒頭の長椅子に出会ってしまった。

座ることができる場所に置いてあり、すこぶるよい座り心地。極端な座面の低さと奥行きに仰天した。自身の作り上げたベンチのイメージが、気持ちよく裏切られ、高いところを飛ぶ鳥を見上げるような爽やかな体験をしたのだった。 黒田辰秋の長椅子を先に体験していたのなら、先の注文をどうさばいていたのだろうか?その、すこぶるよい座り心地を、どこかで自身で作ってみたい思いが続いていたが、真似て作ったらお終いだという感覚も同居していた。


結果、欲求が勝ってしまった?のだが、《キタタミ》を口実に作ることにする。どこまで自分の足で立っているのかという制作上の問題(作っているのか?作らされているのか?)を、持続させられれば、想像する出来上がりよりは、マシな結果が待っててくれているのではなかろうか?


令和5年7月1日現在、部材ごとの大まかな木取りを終えている。

石上和弘



 石上 和弘  |  ISHIGAMI Kazuhiro 
石上 和弘 | ISHIGAMI Kazuhiro 




石上 和弘 | ISHIGAMI Kazuhiro











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